アディポネクチンに注目！健康と体型維持をサポートする「痩せホルモン」の秘密

ここ数年は夏の暑さが長引き、体型が気になりやすい薄着の期間も長くなり、体重管理に関心を寄せる方も多いのではないでしょうか。体重を適切に管理するためには、「代謝」「腸内環境」「ホルモンバランス」など、さまざまな体内の要素が複雑に関わっています。

特に40代・50代の女性の間では、ホルモン変化に伴う体重の増えやすさ（いわゆる更年期太り）を実感する方も少なくありません。

そうした中で、健康や体型維持のキーワードとして近年注目を集めているのが、今回のテーマである「アディポネクチン」です。「痩せホルモン」や「長寿ホルモン」とも呼ばれ、その働きに期待が寄せられています。

アディポネクチンは、主に脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン（たんぱく質）の一種です。体内の代謝やエネルギーバランスをサポートする重要な働きを持っています。

エネルギー消費と脂肪代謝のサポート: 体内の AMPK（AMPキナーゼ） という酵素を活性化し、エネルギー消費や脂肪の代謝に関わる仕組みをサポートすると考えられています¹⁾。
生活習慣の影響: アディポネクチンの分泌量は、生活習慣や食事内容の影響を受けることが知られており、バランスの取れた食事や適度な運動が良い影響をもたらすとされています¹⁾。

腸内環境の乱れは、全身の代謝やホルモンバランスにも影響を及ぼすことがあります。特に「善玉菌」と「悪玉菌」そして「日和見菌」のバランスは、健康維持に不可欠な要素です。

腸内環境を整える食生活がアディポネクチンの分泌に良い働きをもたらす可能性があるという研究報告があります²⁾。腸内環境を良好に保つことは、間接的にアディポネクチンのサポートにもつながると言えるでしょう。

近年の研究では、アディポネクチンの分泌や血中濃度に関連する可能性のある栄養素を含む食材が示されています³⁾。

特に玄米は、以下の点が注目されています。

夏は冷たい飲み物やさっぱりした食事に偏りがちで、暑さから運動習慣が乱れやすい季節でもあります。

食事の偏り、運動不足、睡眠の質の低下などが重なると、アディポネクチンだけでなく、代謝や腸内環境にも影響を及ぼしやすくなります。

もし体重や体調の変化が気になってきた場合でも、生活習慣を早めに整えることでリカバリーは十分に可能です。食事、睡眠、軽い運動を無理のない範囲で組み合わせ、生活全体をバランスよく見直すことが、健康と体型維持への大切なステップとなります。

【出典】

山内敏正, 柏木健宏, 磯部誠. アディポネクチンと脂質・糖代謝—シグナル伝達と生理活性—, 日本臨床栄養学会雑誌, 2011, 33 巻, 3 号, p. 195-201.
Shin, J. H. et al. The relationship between adiponectin and gut microbiota in obese and lean adolescents. J Clin Endocrinol Metab. 2017; 102(11): 3975–3983.
Hajer, G. R. et al. Adiponectin and its association with body fat distribution and energy balance. J Clin Endocrinol Metab. 2008; 93(11): 4192–4198.
Brand-Miller, J. C. et al. Low-glycemic-index diets in the management of diabetes: a meta-analysis of randomized controlled trials. Diabetes Care. 2003; 26(8): 2261-2267.